Picnika at Kit

訪れる度にそのセンス少し分けてくれ、と思ってしまう京都のKitにて展示会をさせて頂きます。
Kit店主椹木さんの文章も大好きで、こんな長文で紹介してくれて本当に嬉しい限りです。

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大通りから一本入り住宅街の裏道をくねくね曲がって行って辿り着いた古い一軒家。手描きの看板「Picnika」を目印に傾いた階段を上がると、そこにベレー帽を斜めに被ったボーダーシャツの店主・津留慎太郎ひとり。木彫りの人形みたいで可愛い。いくつかの小さな部屋に分かれた店内はペイントされたアッシュグレーの木の家具とかフォークロアな刺繍の衣装とか異国情緒あふれる民具なんかが、やや所帯じみた実家感を醸し出しながら並んでいた。ここはどこ?な世界だが異邦人なのは私。まるでセットのような可愛いお店にクスッときてキュンとしたのを今でも覚えている。チェコ、ハンガリー、ルーマニアなどの東欧諸国での買い付けが多いのは、エミール・クストリッツァの映画や写真家、エッセイストのみやこうせいの著作に感銘を受けたことがきっかけらしい。最初に訪れた店舗は取り壊しのため立ち退き、今は別の場所に移っている。さらに家具メインの店「Magazyn」も新たに立ち上げたが、彼がつくる場所は絵画的風景があり、どこへ行っても旅の余韻が静かに流れている。

器、家具、民具、衣装などトータルなバイイングの中でも密かに楽しみにしているのは布や古着。さすがこやつはベレー帽を斜めに被るだけあって女子か!?と思うほど乙女な色や柄の選択。小花模様やハートモチーフは店内のどこかしらに散らばっていて、ふと幼い頃に『赤毛のアン』に憧れてフラワープリントのツーピースを着たり、パンプディングを焼いたり、ハート型のフォトフレームを作っていたことを思い出した。遠のいてはいるが簡単によみがえる私が好きだったこと。ここにそれが確実にあるなああ…とうなりながら手をのばすそれを、カントリー・フォークロアと呼ぶことにしよう。


2022年4月9日(土)-18日(月)
11:30-18:00
Picnika店主在廊:4/9(土)
※4/12(火)、13(水)は休み

Kit
京都市上京区一町目853-2
tel.075-744-6936